【第4回目】事業継承に備えてのポイント
世代交代は必ずくる ~まだ先ではなくて、もうすぐそこ~
Q. 事業承継のご相談も多いのでしょうか?
事業承継問題もまた、中小企業にとって重要な課題です。私たちは、日頃から積極的にお客さまに
事業承継の大切さをお話し、可能な限りこの問題に取り組んでいます。
中小企業にとって、経営はいつでも事業承継の一局面。なのに、このことを経営者があまり意識していない-。
日頃経営者の方々と接していてよく感じることです。残念ですね。
事業承継は、約30年に一度必ず訪れる問題です。それは経営の交代時期になって初めて顕われるのではなく、日頃からの対策の結果なのです。
よく考えもせずに株式をばらまいて致命的な経営の危機を迎えた
株式の対策もせず突然相続になって、相続税が払いきれない
など、とんでもない話があちこちから耳に入ってきます。
ご相談にいらっしゃって、手を打てるものは処置しますが、残念ながら手遅れのものもあります。
もう少し、経営者がアンテナを高くしてくれていたら、私たちに早く相談をしてくれたなら
と悔しく思うこともありますね。
Q. 実際に、事業継承の準備とはどういった手順になるのでしょうか?
私たちが事業承継に取組む場合の手順としては、次のようになります。
1.事業の将来(継続・売却・廃業)の基本方針決定
2.継続の場合の後継者、会社の経営権対策の決定と実行
3.相続の方針決定と対策実行
4.相続税の試算と対策の検討・決定・実行
5.後継者の育成
6.自分と後継者の資産形成
7.リタイア後のライフ準備
8.会社売却の具体的方法(オプション)
こうやって見ると当たり前のようですが、これがなかなか実現できない。そして、時間がかかるんです。
ですから、私たちは日ごろから積極的にお客さまに事業承継の大切さをお話しています。可能な限りこの問題に取り組み、これらのプロセスを、お客さまと一体になって考えていきます。
Q. やはり、パートナー選びは大切ですね。最後に、経営者の方へメッセージを
経営のパートナーとして取り組んでいく際、私自身が大切にしている考え方があります。
経営者の皆様に大切にして頂きたいものでもありますので、ご賛同頂けると嬉しいですね。
1.会社の健全な存続・成長・発展が事業承継対策の不可欠の前提
2.オーナー企業の経営は常に事業承継の一局面であることを忘れない
3.長期プランを作り、できるだけ早く着手すること
4.経営者・後継者・家族でよくコミュニケートすること
5.外部の専門家を交えて進めていくこと
6.経営権(議決権や株式)は集中させること
7.何が幸せなのかよく考えること
・子供に美田を残さず・・・もっとも価値ある遺産は教育である!
・争族にならないように、家族の個人個人の状況への配慮をしてあげること
・もらう方は財産をいただけたら望外の幸せだと思うこと
8.後継者のキャリアの開発を計画的におこなうこと
9.後継者をサポートする幹部人材を育成していくこと
10.経営者・後継者ともに、資産形成をしていくこと
これは、私が幾多の実例を扱い、また自分自身の体験もふまえた実感に基づいたものです。
皆さんも、未来の問題であると放っておかず、ぜひ
私たちにご相談ください。
【モーカルサポートセミナー情報】 本連載記事の筆者、小笠原士郎氏が講師として登場!
2009年 6月 17日(水)
~経営者の方、次世代継承者の方へ~
あなたの会社は大丈夫ですか?会社を潰さない経営のためのヒント
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(編集部あとがき)
4回にわたり掲載いたしましたモーカルサポート倶楽部 特別連載企画 いかがでしたでしょうか。
筆者の小笠原士朗氏は、中小企業の経営サポートを数多く手がけられ、厳しい時代に負けない強い会社作りを一貫して提唱されています。
「事業継承に悩んでいる経営者さんが本当に多いんですよ。でも、この時代背景の中で、自分の会社がどういう状況に置かれているか、気づいていない経営者さんがもっと沢山いらっしゃる。」
と取材中におっしゃっていたのがとても印象的でした。
今回のメッセージは、そんな小笠原氏の経験から生まれたものでもあり、経営者(特に創業者)の方が必ず通過する 『壁』 に対する警鐘でもあります。
このメッセージが、少しでも多くの方々にとって よいヒントになりますよう。